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「自社にはどの防災用品が必要なのか」——総務・BCP担当者からよく聞かれる相談です。
防災用品は種類が非常に多く、オフィス向けの一般的なリストをそのまま流用すると、工場や店舗、公共施設では過不足が生じることが少なくありません。
拠点の使われ方によって、滞在人数の変動、天井や什器の状況、電源の有無、来訪者対応の必要性などが大きく異なるためです。
本記事では、オフィス・工場や倉庫・店舗や商業施設・自治体や公共施設・学校という5つの拠点タイプ別に、優先すべき防災用品を比較表で整理しました。
自社の拠点がどのタイプに近いかを確認しながら読み進めることで、無駄なく、抜け漏れのない備蓄計画を立てられます。
インターネット上には「防災用品リスト」があふれていますが、その多くは家庭向け、あるいは一般的なオフィス向けを前提としています。
しかし企業が管理する拠点は、オフィスだけとは限りません。
工場、倉庫、店舗、自治体庁舎、学校など、用途も設備も人の動きもまったく異なる拠点を複数抱えている企業は珍しくないでしょう。
たとえば、オフィスでは椅子に座って長時間過ごす従業員を想定した備蓄で十分な場合が多い一方、工場や倉庫では重量物の転倒・落下リスクへの対策が優先度の高い課題になります。
店舗であれば、従業員だけでなく来店中の顧客をどう安全に誘導し、必要であれば一時的に留め置くかという視点が欠かせません。
つまり、防災用品の必要量や優先順位は「何人いるか」だけでなく「どのような建物で、どのような人が、どのように過ごしているか」によって大きく変わります。
拠点タイプ別に整理することで、過不足のない、実効性の高い備蓄計画を立てることができます。
拠点タイプを整理する際は、次の3つの視点で分類すると判断がしやすくなります。
この3視点をもとに、次章では代表的な5つの拠点タイプについて、必要な防災用品を比較表で見ていきます。
まずは全体像を把握できるよう、拠点タイプ別に優先度の高い防災用品をまとめた比較表をご覧ください。
◎は特に優先度が高いもの、○は状況に応じて検討すべきものです。
| 防災用品カテゴリ | オフィス | 工場・倉庫 | 店舗・商業施設 | 自治体・公共施設 | 学校 |
|---|---|---|---|---|---|
| 非常食・保存水 | ◎ | ◎ | ◯ | ◎ | ◎ |
| 簡易トイレ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ |
| 家具転倒防止用品 | ◯ | ◎ | ◯ | ◎ | ◎ |
| 照明(懐中電灯・投光器) | ◎ | ◎ | ◯ | ◎ | ◯ |
| 発電機・非常用電源 | ◯ | ◎ | ◯ | ◎ | ◯ |
| 防寒用品(毛布・アルミシート) | ◯ | ◯ | ◯ | ◎ | ◎ |
| 衛生用品(マスク・消毒液等) | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ |
| 救助・救出用工具 | ◯ | ◎ | ◯ | ◯ | ◯ |
| 多言語対応・案内用品 | ◯ | ◯ | ◯ | ◎ | ◯ |
以下、それぞれの拠点タイプごとに具体的な考え方を解説します。
オフィスは在館者の人数が比較的把握しやすく、勤務時間帯もある程度固定されているのが特徴です。
まず優先すべきは、帰宅困難者対策として一定期間の館内待機に耐えられる非常食・保存水・簡易トイレの3点です。
東京都をはじめとする自治体では、事業者に対して従業員向けに3日分程度の備蓄を促す取り組みが行われており、オフィスビルではこれが備蓄量を検討する際の一つの目安になります。
また、地震発生時にキャビネットやOA機器が転倒・落下することによるケガも多いため、家具転倒防止用品の優先度も決して低くありません。
停電時の避難経路確保のため、懐中電灯や非常用照明も必須です。
工場・倉庫では、重量のある設備・棚・パレットなどが多数存在するため、家具転倒防止・落下物対策の優先度がオフィスより格段に高くなります。
加えて、フォークリフトなど動力機器の停止や、原材料・製品の破損リスクへの備えも必要です。
停電時の作業安全確保という観点から、発電機や非常用照明の重要度も高く、非常灯だけでは不十分な作業エリアには可搬型の投光器を配備しておくと安心です。
救助工具(バールやジャッキなど)も、什器の下敷きになった場合の初動対応として備えておきたい品目です。
店舗や商業施設では、従業員だけでなく来店中の顧客への対応が求められる点が最大の特徴です。
災害発生直後、顧客を安全な場所へ誘導し、交通機関の運行停止などにより帰宅が困難になった顧客を一時的に受け入れる可能性も想定しておく必要があります。
そのため、簡易トイレや衛生用品は従業員分に加えて来店客分の余裕を持たせることが望ましく、非常食・保存水についても最低限の顧客対応分を見込んでおくと、混乱時の対応がスムーズになります。
自治体庁舎や公民館、避難所指定を受けている公共施設では、地域住民の受け入れという役割が加わります。
想定する在館者数が職員数をはるかに超える可能性があるため、非常食・保存水・簡易トイレはいずれも大人数対応を前提とした備蓄量が必要です。
高齢者、乳幼児連れ、障がいのある方、外国人住民など多様な利用者を想定し、多言語対応の案内表示や、要配慮者向けの防寒用品・衛生用品も準備しておくことが望まれます。
学校は児童・生徒という要配慮者が多数を占める施設です。
在校時間中に被災した場合、保護者への引き渡しが完了するまで校内で待機する時間が発生することを想定し、非常食・保存水・防寒用品を児童生徒数分確保しておく必要があります。
また、体育館などの避難スペースには家具や什器が少ない一方、教室棟にはロッカーや棚が多いため、家具転倒防止用品も引き続き重要な位置づけとなります。
比較表だけでは伝わりにくい、拠点タイプ別の「見落とされがちな盲点」を補足します。
工場・倉庫では、什器の転倒防止だけでなく、天井付近に設置された配管・照明器具・案内板などの落下対策も見落とされがちです。
地震動によってこれらが落下すると、避難経路をふさいでしまうリスクがあります。
棚の固定金具や滑り止めマットなど、設備に合わせた対策用品を個別に検討する必要があります。
従業員向けの備蓄は整えていても、顧客向けの備えが手薄になっている店舗は少なくありません。
特に大型商業施設では、災害発生時間帯によって館内滞在者数が数百人〜数千人規模になることもあるため、簡易トイレの個数や、案内・誘導のための拡声器・掲示物なども事前に準備しておくべき品目です。
在留外国人や旅行者が多い地域の公共施設では、災害情報の伝達において多言語対応が不可欠です。
ピクトグラム(絵記号)を使った案内表示や多言語対応のアナウンス機器なども、防災用品の一部として検討する価値があります。
複数拠点を持つ企業では、各拠点の担当者が個別に防災用品を発注しているケースが多く見られます。
この方法は一見柔軟に見えますが、実際には次のような問題を招きがちです。
これらの課題を避けるためには、本社主導で「基本セット」の規格を統一し、各拠点はその基本セットに拠点特性に応じた品目を追加する、という二段階の仕組みが有効です。
統一規格があることで、備蓄状況の可視化や一括発注によるコスト削減、期限管理の効率化が実現しやすくなります。
具体的には、非常食・保存水・簡易トイレ・衛生用品といった「どの拠点でも必要な共通品目」と、工場であれば救助工具、店舗であれば来訪者対応品、自治体施設であれば多言語対応品といった「拠点特性に応じた個別品目」を分けて設計するとよいでしょう。
この設計方法は、拠点数が増えても管理の複雑さを抑えられるという利点があります。
備蓄品は「量が多いほど安心」というわけではありません。
保管スペースが避難経路や作業動線を圧迫してしまうと、平常時の業務効率が落ちるだけでなく、災害時の避難行動そのものを妨げるおそれもあります。
拠点の図面をもとに、適切な保管場所と数量のバランスを検討することが重要です。
非常食や保存水には使用期限があります。
拠点数が多い企業ほど、期限切れに気づかないまま何年も放置されてしまうリスクが高まります。
購入時点で更新時期をリスト化し、一元管理できる仕組みを用意しておくことをおすすめします。
内閣府が公表している事業継続ガイドライン(令和5年3月改定)では、事業継続マネジメント(BCM)の一環として平時からの備えの重要性が示されています。
防災用品の選定は単体で考えるのではなく、自社のBCPが想定する被災シナリオ(震度・停電期間・交通機関の停止期間など)と整合性が取れているかを必ず確認しましょう。
想定と備蓄内容がずれていると、いざというときに「量はあるが役に立たない」という事態になりかねません。
企業の防災用品は、オフィス・工場や倉庫・店舗や商業施設・自治体や公共施設・学校といった拠点タイプによって、優先すべき品目や数量の考え方が大きく異なります。
画一的なリストをそのまま当てはめるのではなく、自社の拠点特性に応じて「共通品目」と「個別品目」を整理することが、無駄のない備蓄計画への第一歩です。
また、拠点数が多い企業ほど、本社主導での規格統一と一元管理が、コスト面・運用面の両方でメリットをもたらします。
保管スペース、更新サイクル、BCPとの整合性という3つの視点も忘れずにチェックしてください。
「自社の拠点にはどの防災用品が、どれくらい必要か分からない」という場合は、Be-kanの防災用品専門スタッフが拠点特性やBCP想定に応じた最適な組み合わせをご提案します。
拠点別の一括見積り、統一規格でのご提案も承っておりますので、まずはお気軽に無料相談・お見積りをご依頼ください。
Be-kan(備館)では、企業や会社、学校といった組織における災害備蓄品の選定や、運用管理に役立つ実践的な情報を発信しています。
BCPの観点から、最低限準備しておくべき食料や非常食のリストをはじめ、ヘルメット、避難時に欠かせないリュックなどの防災用品について解説しています。
法人向けの防災グッズやセット導入のポイント、効率的な備蓄の進め方など、現場の担当者がすぐに活用できるノウハウもまとめました。組織の安全管理体制を強化し、万が一の事態に備えたい方は、Be-kan(備館)のコラムをご覧ください。
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編集者 / Be-kanネットショップ
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